めちゃくちゃ大事なお話です。アミノ酸は人間の身体には必要不可欠な栄養素です。必要不可欠な栄養素だからこそアミノ酸の役割を知っておきましょう。
今回の記事は「アミノ酸」について解説していきます。
必須アミノ酸と非必須アミノ酸
アミノ酸というのは2種類に分けられます。身体の中でつくることのできない「必須アミノ酸」と、からだの中でつくられる「非必須アミノ酸」です。
自然界に存在するアミノ酸は現在までに約500種類ほど確認されており、このうち人間の体をつくっているアミノ酸は主に20種類です。
つまり、わずか20種類のアミノ酸が数個から数万個、複雑に組み合わさることで、人間の体はつくられているのです。
この記事では20種類のうちの9種類である「必須アミノ酸」についてみていきます。
アミノ酸の歴史
まずは簡単に歴史を知っておきましよう。地球上に存在する栄養素のうち、最も古くタンパク質を構成している最小単位の成分がアミノ酸です。 現在から約100年ほど前に発見されていて、その後の研究で、
『人間をはじめ、地球上に存在するあらゆる生物は、すべてタンパク質でできており、タンパク質の構成成分であるアミノ酸は、あらゆる生物の中に存在している。この世にアミノ酸のない動物も植物も存在せず、アミノ酸は生命の根源ともいえる非常に重要な物質』ということが明らかにされています。
要はむちゃくちゃ重要ということです。
必須アミノ酸の働き
9種類ある必須アミノ酸のそれぞれの役割を簡単に紹介します。トレーニングの観点から、覚えてほしいものに★をつけておきます。
★BCAA
(Isoleucine, Leucine, Valine; イソロイシン、ロイシン、バリン)
イソロイシン、ロイシン、バリンの総称をBCAA(Branched Chain Amino Acid: 分岐鎖アミノ酸)といいます。
トレーニングを行っている方は知っているかもしれませんが、必須アミノ酸の中では一番の有名どころです。
食品では魚(マグロ)、豚肉、鶏卵などに、また人間の筋肉にも多く含まれます。
タンパク質の生成・分解を調整することによって筋肉の維持や増加に関与する重要なアミノ酸であり、血中の芳香族アミノ酸と拮抗するため、肝硬変の治療薬としても用いられている。
L-Histidine
(ヒスチジン)
乳幼児の成長に重要なアミノ酸です。なぜなら子どもには合成できず、大人になると合成できるようになるからです。なんとも変則的ですよね。必須アミノ酸の中でも唯一、特殊な性質の持ち主です。
食品では魚(かつお、まぐろ)、肉類(鶏肉、豚肉)、チーズなどに多く含まれます。
ヒスタミンは神経伝達物質として働くため、交感神経の活性化による摂食抑制や脂肪分解作用が期待されています。また、紫外線による皮膚への刺激を軽減させる効果があるのでシミやそばかす、皮膚ガンの予防に効果があるといわれています。
★L-Lysine
(リジン)
体のたんぱく質の組み立てに必要不可欠なアミノ酸の一種です。そして、脂肪燃焼に必要なカルニチンの合成原料でもあります。
食品では魚(かつお、まぐろ)、肉類(鶏肉、豚肉)、牛乳、チーズなどに多く含まれ、豆類(納豆、豆腐)にも豊富に含まれます。
たんぱく質の吸収を促進させ、ブドウ糖の代謝を良くしてくれるので、脂肪燃焼効果、疲労回復効果、集中力を高める効果があり、また肝機能の向上、脳卒中の発症を抑制する効果まであるとされています。
L-Methionine
(メチオニン)
硫黄を含んだ含硫アミノ酸です。
食品では魚(かつお、まぐろ)、肉類(鶏肉、豚肉)、鶏卵、野菜ではほうれん草、ブロッコリー、にんにく、牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐・納豆などの豆類などに多く含まれます。
同じく硫黄を含むアミノ酸であるシステインやカルニチン、タウリンの生合成に必要であり、脂質代謝、肝機能に重要なアミノ酸であり、
神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなど、うつ病を改善させる作用を持つ脳内物質の材料となります。
記憶力の向上や、認知症の予防・改善といった脳の活性に効果があると期待されています。
L-Phenylalanine
(フェニルアラニン)
脳と神経細胞間の信号を伝達する役割を持つ神経伝達物質として働きます。
食品では豆類(大豆、小豆、そらまめ)、ナッツ類(落花生、カシューナッツ)などに多く含まれる。
体内でノルアドレナリンとドーパミンに転換され、神経系に働きかけます。気分の落ち込みや無気力を緩和し、精神を高揚させるので、うつ症状の緩和にも効果があるとされています。また、記憶力を向上させる作用があるとされています。
L-Threonine
(スレオニン)
スレオニンは成長を促進したり、肝臓に脂肪が蓄積するのを抑制する働きがあります。
食品では魚類、肉類(鶏肉)、サツマイモ、栗などに多く含まれる。
代謝を促すことが得意なアミノ酸なので、肝臓への脂肪蓄積を防いで脂肪肝を予防したり、新しい細胞をつくり出すことで、美肌効果もあります。
L-Tryptophan
(トリプトファン)
牛乳から発見されたアミノ酸です。
食品では大豆や大豆から加工された食品、魚類、かつお節などに多く含まれる。
トリプトファンには、体内で発生した活性酸素を除去する作用があることから、アンチエイジングの効果が期待されています。さらには、ノルアドレナリンやドーパミンといった神経伝達物質を作るために働きますので、気分を高揚させてやる気を生み出すよな効果もあります。逆にトリプトファンが不足してしまうことで、学習機能低下がみられたという研究もあるみたいです。
トレーニングに必要なアミノ酸は?
筋肉をつけるなら、血液中のアミノ酸濃度を常に高い状態でキープすることが必要です。
なかでも筋合成のスイッチを入れるのはBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)になります。
BCAAは激しい運動による筋肉の分解を抑制する効果があります。トレーニング中は、常に筋分解と筋合成が繰り返し行われているため、血中BCAA濃度を上昇させることで筋肉の分解を抑制し、代わりにエネルギーとなります。疲労回復のサポートも行ってくれるため、ダイエットやトレーニングをされている方は積極的に摂取しましょう。
BCAAの摂取方法、タイミングや量の目安
BCAAはトレーニング中のドリンクとしておすすめです。BCAAはアミノ酸なので経口摂取から効果が生じるまで30〜45分の短時間で吸収され始めます。また、BCAAは2000mg以上で効果が生じ、摂取量を増やすと4000mgまで効果が上がるという研究結果もあります。
トレーニング後に関しては、BCAAの摂取でも問題ありません。必須アミノ酸でもあるため何も摂取しないよりは効果があります。しかし、壊れた筋肉を修復するのにはアミノ酸の種類が少なく、効果が大きいとは言えません。トレーニング後はタンパク質の豊富なプロテインを摂取しましょう。
ちなみに僕は、トレーニングを行う日であれば一日15gほどのBCAAを摂取し、トレーニング後はプロテインを50gほど摂取します。普通よりかなり量は多いですが、多いと身体に悪影響を及ぼすみたいなことは特にありません。むしろプラスに働いています。
プロテインとBCAAの違い
ここまで読んでいただいた方は、すでに分かるかと思いますが、プロテインとはタンパク質が豊富に含まれるもので、タンパク質とは様々なアミノ酸が連鎖したものです。つまり、アミノ酸を全体的にバランスよく摂取できるということになります。一方でBCAAとはアミノ酸の中でもバリン、ロイシン、イソロイシンのみが含まれます。
これだけ聞くとプロテインの方がアミノ酸の種類が多く良いようにも聞こえますが、プロテインは摂取したタイミングから消化酵素を使いアミノ酸に分解するまでに時間がかかってしまい、即効性が失われてしまいます。
BCAAは筋肉の分解抑制効果と疲労感の減少に特化しています。つまり、プロテインとBCAAはそれぞれ必要とされる場面が違います。どちらの方が良いというわけではなく、トレーニング前とトレーニング中にはBCAA、トレーニング後にはプロテインと飲み分けを行うことで効率がグンと上がります。
最後に
脂肪のように、アミノ酸は身体に貯蔵しておくことができない成分です。詰まる所、常に身体をアミノ酸で満たし、摂取し続けることが大切になります。
BCAAを初めて聞かれた方や、知っていたけど摂取はしたことがなかった方は、今後のトレーニングライフに是非活用してみてください。
Thank you for your time👍