人はカロリーをエネルギーに変換し、運動したり脳を働かせています。そのエネルギーは一体どうやって作られ、トレーニングなどに活かしていくのか。今回の記事はATPと結びつきが強いクレアチンとの関係性について解説していきます。
ATPとクレアチンの筋肥大効果について
ATPとは
筋肉が収縮する時にエネルギー源として供給されるのがATP(アデノシン3リン酸)です。これは高エネルギー性の化合物とよばれ、また細胞が生命活動を維持するために必要なエネルギーは、エネルギーを蓄えているATPが分解される時に放出されます。
これは筋細胞に存在するミトコンドリアが生産しているもので、ミトコンドリアはATPをどんどん合成しエネルギーを生み出していきます。ですが、筋肉内に貯蔵されているATPの量はとても少なく、運動を続けるには再合成が必須になるのです。
ATPの3つの合成経路
ATPを合成、再合成する経路は3つあり、「ATP-CP系」「解糖系」「有酸素系」に分かれます。これら3つの経路にはそれぞれ特徴があり、運動時間や強度によって使い分けられています。
ATP-CP系
クレアチンを材料とし、「瞬発力」と「ハイパワー」を発揮します。
ATPはごく少量しか筋肉内に貯蔵されていません。そのため瞬間的に大きな力を出力すると筋肉内のATPは瞬く間に枯渇してしまいます。
そのため、ATP-CP系は筋内のクレアチンがリン酸と結びつきクレアチンリン酸となり、ADP(アデノシン2リン酸)にリン酸を与えてATPを再合成するという働きを常に行っています。しかしながら、クレアチンリン酸の貯蔵量も限られており、ATP-CP系の持続時間は8秒弱であると言われています。
解糖系
炭水化物を材料とし、「無酸素運動」に利用され「ミドルパワー」を発揮します。
筋内に貯蔵されている炭水化物、すなわちグリコーゲンを無酸素的に分解して放出されるエネルギーが再合成に利用されます。一般的にエネルギーの産生には酸素が必要であるが、糖質の代謝では酸素が無くてもATPを産生することができるんです。この経路によって、30〜120秒程度最大限の筋収縮が可能であると言われています。
有酸素系
炭水化物、脂肪を材料とし、「持久力」と「ローパワー」を発揮します。
この経路では、脂肪を分解し遊離脂肪酸から生成された成分がミトコンドリア内に取り込まれ、複雑な処理を経て多くのATPが再合成されます。この経路は大変複雑で、また代謝の過程で酸素を必要とする為、手前で紹介した2つのエネルギー供給系とは違い瞬発的なエネルギー供給には向きません。しかしながらエネルギーの供給量は大きいため、有酸素系のATP再合成によって長時間の運動が可能となります。
絶えずエネルギーを生成し続けるこの3つの回路は十分なカロリーがないと成立しません。カロリーが不足すると材料とするものがなく、パワーも出なくなってしまいます。
クレアチンで最大限にパワーを発揮しよう
クレアチンはアミノ酸の一種で、1日2gほど体内合成されています。体内に存在するクレアチンの95%は、筋肉にリン酸と結合した「クレアチンリン酸」という形で蓄えられています。ATP-CP系の材料として使われ、クレアチンを積極的に摂取すると様々な効果が期待できます。
期待できる最大の効果
クレアチンには、身体能力・運動パフォーマンス向上、筋肉量増加、また脳の疲労軽減などさまざまな効果が期待できます。
パフォーマンスの向上
クレアチンは筋収縮のエネルギーを供給するため、高強度・反復性の運動に対して特に大きい効果が見られます。挙上重量増加、筋トレのみならず瞬発的なパワーを供給するのに加えて、バイク・水泳・陸上(短距離)などの反復性運動においてもピーク時のパワーが持続、タイム短縮などの報告もあるそうです。
使用重量の向上
瞬間的なパワーを最大限に引き出すことができるクレアチンは、トレーニングにおいて1RMの重量UPが見込めます。 1RMとは、正しいフォームで1回だけ挙げることができる最大重量のことで、なかなか重量の更新ができない人は一度クレアチンパワーを利用してみてください。
筋肉量の増加
クレアチン単体では筋肉を作ることはできませんが、無酸素運動のエネルギーが効率的に供給されることによって、高強度&高負荷のトレーニングが期待できます。クレアチンの摂取により最大強度の運動を積み重ねるトレーニングが可能となるため、結果的に筋肉量を増やす筋肥大効果が期待できるんです。
効果を最大化する摂取方法
クレアチンはその効果を発揮するまで少しばかり時間がかかり、体内のクレアチン濃度を高めておくことが何よりも重要になってきます。逆に食事やサプリメントでアミノ酸を積極的に摂取してない人はクレアチンの効果をより実感できることでしょう。主に2つの期間に分けて摂取していきます。
ローディング期
まずは、体内のクレアチン濃度を限界値まで溜め込むためにローディング期間を設けます。1日20gのクレアチンを、5gずつ4回に分けて1週間程度継続します。
メンテナンス期
ローディング期間を終えると、1日5g程の摂取に切り替え継続していきます。一度ローディングをすると筋肉内の貯蔵量は一定値に達し、それ以上を摂取しても体から出ていってしまいます。メンテナンス期はクレアチン濃度を維持することが目的です。
筋肉量には個人差があり、クレアチンの貯蔵が最大になるタイミングは人によってバラバラですが、約1週間程度で体内のクレアチンの量が最大まで高まります。ただし、1日に飲むクレアチンの量が多くなる傾向があるので、始めの1週間はお腹がゆるくなったり、消化が悪くなったりする可能性があるので注意が必要です。
まとめ
クレアチンとATPの関係性はとても密で、スポーツを行っている人や、トレーニングを行っている人には必要になるアミノ酸だと考えています。1日20gのクレアチンは食事と合わせてもやはりサプリメントからの摂取は必須になってきますので、自分のパフォーマンスを向上させたいと考えるのであれば一度試してみましょう。おすすめですよ。
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